ひと月の妹
突然、紫藤司が僕に会いに来た。
「佐々木みかんをほしい」
「率直ですね、そういう人嫌いじゃありませんけど。」
「でも、あなたのお母さまからのご依頼で
3年の契約結婚を結んでいます。」
「何だと!」
「早乙女佳澄さんと結婚させたいみたいですよ」
「あなたのお母上」
「みかんさんが邪魔、そういう図式です。」
「なぜ、そんなに簡単にオレにそれを教える?」
「みかんさんが、あなたを好きなので僕としても
お返ししたい・・まぁ、そんな所です。」
「籍はすぐ抜けるのか?」
「ここはフランスというお国柄ですよ」
「ただの事実婚ですから身一つでお帰りになれますよ。」
「それなら、おまえにコレをくれてやる!」
「僕が欲しかった利益話ですね、これで決まりですね。」
「もっとごねるかと思ったんだが・・」
「拍子ぬけましたか?」
「僕はあなたとケンカしたくないですよ」
「みかんさんをどうか幸せにしてあげて下さい。」