ひと月の妹

異国の地で目の前に魔物が現れた。

夢幻かと思った。

毎日のように観続ける録画のせいで

幻覚を見ているのだと・・・

魔物は自分を飛行機に乗せた

繋がれた手はずっと握られたまま

飛行機から降り、新しい住まいに

連れて来られた。

魔物は腹が減ったと自分を喰べた。

 
数日経ち、魔物は人の顔を見せはじめた。

「紫藤司さん」

紫藤司さんに見えるけど・・・

私は確かに優しい佐々木圭さんと暮らしていた。

彼はわたしにこんなことはしたことはない・・

「紫藤司さん」

本当に彼みたいだ。

いや、彼だ。

わたしは帰ってきたの?

星(アカリ)ちゃんに電話した。

「そこはわたしも知らない住まいなの」

「みかんさん、大丈夫?」

「うん、大丈夫かな・・」

「連絡が取れるってことは、

兄さん、そこまで無茶する気はないと思うから・・」

「また電話してくれていいからね。

今は話くらいしか聞いてあげられないけど・・」

「ありがとう。」

星(アカリ)ちゃんに電話したら現実味がでてきた。

やっと落ち着いて眠れた。
 

 
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