ひと月の妹
早乙女佳澄は紫藤司に連絡して会いに出掛けた。
紫藤司は相変わらず忙しそうで秘書を数人連れていた。
「司さん、私、少しだけ、あなたと二人でお話がしたいのですけど・・」
「母が外国にも連れて行き、あなたに多大なる勘違いをさせたようですね」
「勘違い?・・・ですか・・」
「私たち、これから婚約を発表して結婚を・・・」
「母の意思は私の意思ではないと思いますが・・・」
「私があなたと二人で会ったことがありますか?」
「いいえ、ありません。」
「でも・・・これから二人で会えば良いのでは
私の事を知って頂きたいですし・・・」
「あなたを知る?」
「ええ」佳澄は少し恥ずかしそうに首を下に向けた。
「ホテルで洋服を取り替えるように何人も男性がいる人を
私は知りたいとは思いませんよ」
「えっ・・」
「あなたの人生ですし、どの方と、どのようなお付き合いを
されようとも自由ですが、私があなたに関わる事は一切ありません。」
「そして、私は母が気に入るような事を一つもするつもりはない主義です。」
「これ以上、母に勝手をされたくもありません。
すでに他の方法を私は選択しました。
別の人と籍を入れましたよ」
「えっ・・」
「私はすでに既婚者だと言う事です。」
「早乙女さん、もう、お会いすることはありませんね」
「あなたの自由さを容認して下さる方とこの先の良い人生をどうぞ」
「進藤、こちらをお送りしてくれ」
「はい」
私は部屋から追い出された。