ひと月の妹

部屋を追い出された

早乙女佳澄は涙に瞳を潤ませて

紫藤佳澄の部屋の戸を叩いた。


「まぁ、佳澄さん、急にどうなさったの?」


「紫藤司さんは別の方と籍をお入れになったそうです。」


「なんですって」


「お母様の気に入ることはしない主義だからと・・・」

「司さんは、私の過去、現在の男性交際まで調べ上げて

痛いところをどこまでもついてこられました。」

「私に関わることは今後一切ないからと、」

「私、帰ります。こちらへはもう来ませんわ」

「お話はすべてなかったことに・・」


早乙女佳澄は帰っていった。

 
「籍を入れたですって・・・まさか・・・」


わたくしは急いで司さんに連絡を入れた。


「司さん、さっき早乙女佳澄さんがいらしたわ」

「あなたが籍を入れたと、どなたなの?」


(みかんさん、麻美さんと籍を入れたの・・・)
 
 
 
 
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