ひと月の妹
わたくしは星(アカリ)さんを呼びだした。
「星(アカリ)さん、あなたの言った通りになったわ」
「おばさま、思惑が外れちゃいましたね」
「司さんの恋心を軽く見てたわ」
「しばらく反対するフリをして許すしかなさそうね」
「あなたには、わたくし本当に酷い事をしたわね」
「こんな風に羽島家の娘さんの誰かと司さんが籍を入れる
のなら、相手があなたでも良かったはずなのに・・」
「・・・」
「兄さんが幸せになるのが望みです。」
「お母さま、わたしは紫藤星(アカリ)です。」
「解ってるわ」
「星(アカリ)さん」
「おばさま、落ち着いたらヤケ酒にでも付き合いますよ」
「会社拡大には、まだ時間を要しそうですしね。」
「いいご縁談だったのよ、あのお家は・・・」
「お母さま、物事はほどほどに」
「お嬢さまのお人柄も大事かと・・」
「ええ、気をつけるわ」
「わたしは大学に戻ります。」
「いつも呼びだしてごめんなさいね」
「平気です。」
わたくしは笑顔で星(アカリ)さんを見送った。