ひと月の妹
「兄さんが圭さんが相手でも許してくれるかな?」
「そしたら、僕ら駆け落ちする?」
「君がいれば、僕はどこへでも行けるよ」
「えっ、兄さんに立ち向かってくれないの?」
「だって、漆黒の瞳の魔物でしょう?」
「僕は普通に人間だよ」
「君は彼が好きだし、僕としては卑怯でも君の兄さんから
『君を遠ざけておく!』が一番正解じゃないのか?」
「僕にとっては彼が君をさらいにくるのが怖ろしいよ」
「だけど、もっと怖ろしいのは・・・」
「僕は良い友達としての席や君を温める人の席も
このすべてを君が必要じゃなくなって
僕をいらない人にするのが一番怖ろしいよ」
「君が優しい人だから、兄さんやみかんさんに
遠慮して僕のことを白紙にするのが一番怖ろしいよ」
「圭さん」