ひと月の妹

わたしは何の答えも出さないまま

圭さんのそばに居続けている。

自分の心が寒くて仕方がないから

温めてくれる圭さんのぬくもりを

奪い続けて彼を寒くさせている。


「圭さん、わたしたち籍を入れてみる?」

 
「君は僕と籍を入れられるのか?」


「あなたが勝手をしてご両親は心配なさらないの?」

 
「うちは仕事じゃない事は僕の自由だよ」


「僕は君の一番は望まないよ。」


「それでも僕の隣に君がいて欲しい、

僕も君のそばにいたいから・・・」


そう言って、圭さんは立ち上がると別室から用紙を持ってきた。


「それいつ貰いに行ったの?」
 
「帰国してたから」

「迷いがなくなったらサインして」

 
「わたしが書く部分だけなのね・・・」


「僕を安心させてくれるんだろ?」


私は笑ってしまいながらサインをした。


用紙を別室に持って行って彼が戻ってくると

婚約指輪と結婚指輪の二つの箱が用意されていた。


「準備がいいのね」


「毎月、君に新しい指輪を贈るよ」


「また、わたしを甘やかす・・・」


「僕は君にしてあげたいことが多いんだよ」


「明日、一緒に届けに行こう。」


彼はわたしに口づけというサインをくれた。

「今夜は、君の全身には色をつけないでおくよ」

「?」

これまでは心地よい温かさが降りてきていたのに・・・

花嫁に昇格した途端

激しい熱さに変化した。

(そうか、圭さんは、こんな熱さを隠していたんだ)

 


  

 

 

 

 

 

 
< 236 / 302 >

この作品をシェア

pagetop