ひと月の妹

人間は綺麗事だけでは生きられない・・・


本当は司さんの記憶が戻らなかったわけじゃない・・・

麻美さんと圭さんがフランスに旅立って

司さんはすべてを思い出した。

そうして 半年の間 彼はあたしを何度も抱いた。

女の肌が恋しいからだった・・・

だけど、わたしではダメだった・・・

星(アカリ)ちゃんとの思い出が多すぎるから

麻美さんである何も知らない

『みかんさんとすべてを新しく始めたいと・・・』

紫藤司さんはそう言った。

やはり彼は紫藤佳代子さんの息子だった・・・

わたしを傷つけるのが上手だった。

 
「圭さんは、全部知ってて、それでもわたしの

そばでわたしを温めてくれた。」


わたしが氷の国で寒く凍えていたから・・・

 
大学を卒業したら誰も知らない所に行こうと思ってた・・

雪の国の女王のように・・・

なのに、雪の国へ入れないようにわたしを温め続けてくれた。


 


 

 

 

 

 

 

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