ひと月の妹

「星(アカリ)さんに、いいお婿さんを

やはり紹介してあげるべきかしら?」

「本当は佐々木財閥の佐々木圭さんを

ご紹介しようと思っていたのよ」

「事故が起こる前には・・・」

まぁ、彼女はまだ大学生だから

今度それとなく聞いてみましょう。

さすがに、司さんのお名前は出せないでしょうし、

彼女がどんな反応をするのか、わたくし、見たいのかも・・

わたくし、長い間 彼女を司さんから遠ざけるのを

習慣化していたから、それが無くなったら

わたくし、本当はつまらないのかもしれないわ・・・

いやだ、意地悪な姑みたいかしら?

わたくしは、彼女にだけは

自分の本性をさらけ出している気がするわ。

長い年月をそうやって過ごしてしまったもの

今さら変えられないものね

人間、悪い習慣って癖になるって言うけど・・

(本当ね。)

司さんのお嫁さんになったみかんさんに

意地悪言わない代わりに

やはり星(アカリ)さんは必要なのよね・・・

だって羽島家の娘なのだから・・・

紫藤佳代子は鏡を見ている

意地悪な顔をその奥底に秘めている。

 



 

 
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