ひと月の妹
フランスは事実婚でも構わない
だから、最初の目的地をフランスに
3年の契約結婚を紫藤佳代子が言い出したとき
絵画のような彼女をそばで見れるのなら
彼女という鑑賞が目的だった。
そこに互いの会社の利益が生れるのなら
願ったり叶ったり
みかんさんは絵画のように美しく
彼女の哀しい恋の話は
僕には、その恋人をやはり
羨ましく思う他はなかった。
だからこそ、余計に籍を入れるなんて
僕にはできなかった。
だからみかんさんは僕にとっては
一枚の動く鑑賞画だ!
3年ではなく半年ほどの短い鑑賞になってしまったが
少しも後悔はない。
彼女という名画は僕にとっては流動資産だった。
紫藤司は僕が彼女と籍を入れていなかったことで
僕は彼から会社への利益話を受け取り
僕の選択は正しかったことが証明された。
企業人で良かった。