ひと月の妹

「司さんは、記憶が戻っています。」
 
「まさかっ・・・それは、それはいつなの・・・」

「最近のようです。」

「だから辛いようです。」

「星(アカリ)ちゃんの顔を見るのは・・・」

「自分が何をしたか、そのすべてを思い出すらしく・・」

「あなたたち、いつ連絡を取り合っていたの?」

「司さんは仕事が忙しいし、結婚もしたのに・・」

「私たちは、幼馴染です。」

「連絡はおばさまにするより簡単です。」

「みかんさんは、全部知っているの?」

「彼女は知りません。」

「だから、退屈だなんておっしゃらずに

わたしをこのまま行かせて下さい。」

わたしは頭を下げて紫藤佳代子の執務室を出た。

 





 

 
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