ひと月の妹

 人を好きだということがとても

単純な答えで生きていける人と

そうではなく生きることになる人

 『紫藤司さんが好き』

 前はそれだけで良かった。

 辛くても寒くても独りで凍えていても

 彼を見つめられるだけでいいと

 すべてを耐えていたのに・・・

 何もかもが寒くて、すべてが辛くて

 そばにいてくれた圭さんの温かさに触れた。

 わたしを温める圭さんのその優しさが、その

 すべてがこれまで知らないで来たぬくもりだった。

 わたしの事を一番にしてくれる圭さん

 そう、紫藤司さんはわたしを

 一番にしてくれた事はなかった。

 誰かがわたしの事を考え、想ってくれて

 一番にしてくれる そういう幸せを

 これまで、わたしは知らなかった。

 『圭さんと生きたい・・・』

 穏やかで暖かい日差しに包まれるように

 そうやってわたしの人生を歩いてみたい・・・

 (わたしはここを離れるべきだろう・・・)

 
 

 
 



 

 
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