ひと月の妹
「前園さん、聞きたいことがあるの?」
「はい、会長」
「司さんと星(アカリ)さん、あの子たち、いつからなの?」
「・・・」呼ばれて来た、秘書の肩がほんの少しだけ上がった。
「あなたが何も知らないわけはないわね。」
「おっしゃい。」
「前園!」
「も、申し訳ありません。」
「どうせ、ふたりに口止めされているのでしょう。」
「わたくしが知ったら何と言えと言われているの?」
「会長、司さまはご結婚をなさいました。」
「これ以上はお聞きにならない方が宜しいかと・・・」
「あの子たち、どれくらい付き合っていたの」
「会長」
「全部教えなさい。」
「・・・」
「お二人は高3の頃にお付き合いをされました。」
「なんてこと・・・」
「会長、年頃の若い男性が女性とまったく付き合わないで
何年も過ごせるなどと、本当にお考えになりますか?」
「司さまにこれまでまったく女性の影が見当たらなくて、
仕事だけでスマートに女性をエスコートできることが
容易で可能だとお考えでしたか?」
「星(アカリ)さま、いえ、みかんさまが司さまのために
どれだけ・・・」
「お付き合いされている方と外泊もせず、二人だけで旅行にも
行かれず、映画にも買い物にも付き合わせず、そのように
何年も幼馴染として振る舞えと貴方様から申し入れられ
黙って司さまを支えてこられたのに・・・」