ひと月の妹
漆黒の瞳
この闇夜が映す世界の中に現れた
真紅な薔薇のドレスを身にまとう女
これほどの美しさの中に秘める哀しみ
俺の漆黒の瞳に映る影
心が動く
そんな言葉がある
最初に引き会わされて その女が自分の
婚約者なら、どれほど良いか
最初に思ったのは、そんなことだった。
そうではない話に怒りを覚えた!
「妹のように扱え」
おふくろのその言い草に
これほど美しい女に対して
「妹のように接しろ!」
最初からムリだった。
だから、いつもはどんな女性とも
一人で会うことはしなかった。
いつだって数人の秘書を引き連れ
守りを強固にしていた。
それを崩した女でもある
真紅の薔薇のドレスの女