ひと月の妹

愛されたことがないの・・・

だから解らないのね・・・

恋はいつも片思いだった。

誰かに愛された事がないもの。

お金で買った愛は

お金で買ったものだった。

恭一さんは死ぬまで麗子に恋い焦がれ、片思いをしていた。

あの人が長く生きられなかったのは、きっと・・・

お金で買われた自分の人生に嫌気が差していたから・・

優一さんに好きになってもらうことができないわたくしは

せめて美しい男がわたくしの人生に欲しかった。

だから両親に頼んだ。

お金に困っていた紫藤家に多額の融資をすることで

彼に結婚を決めさせたのだ。

(麗子に負けたくない・・・)

どうして人は愛を掴む事ができるの?

どうして、わたくしは誰にも愛されたことがないの・・

いつでも麗子が憎かった

だからその娘を一人貰い、育てた。

もう一人の娘はそばに置き、自分の息子との恋が

できないように邪魔をしていた・・・

別のもう一人の娘がやって来て、美しい息子の嫁になった。

愚かなこと・・・

本当にわたくしは愚かなこと・・・

どこまで愚かなの・・・

 
 
 
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