ひと月の妹

わたしが司さんに一番愛された人でなかったという答えが

気に入った紫藤佳代子さんは落ち着きを取り戻した。

一番でないのは、本当の事だし、相手が誰だったかなんて

それは知らない方がおばさまには絶対いいのだろう。

わたしがおばさまに好かれない大きな原因

それが昔の恋心だったなんて・・・

まさか、自分の両親と紫藤佳代子なんて

考えてもみなかった。

おばさまが父の事を片思いしていたなんて

司の秘書である前園さんが教えてくれたのだ。

亡くなった紫藤家の祖父の方から聞いていた昔話を

前園さんはこの前、紫藤佳代子さんに呼ばれて

わたしと司さんが付き合ってることを聞かれた時に

そのこだわりぶりで理由に気がついたらしい。

両親が元の原因でおばさまに好かれていなかったなんて・・・

 

 



 

 

 
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