ひと月の妹
秘密は続く5
「酔って見る夢」
白い薔薇が香る部屋の中で男は女を抱く
赤い薔薇を想いながらその細くて美しい手を伸ばす
(・・・違う、ちがう、わたしじゃない・・・)
「なぁ、赤い薔薇を部屋に飾れよ」
「おまえに似合うのは赤い薔薇だろう」
男は背後から女の首すじに口づけを落とし
女の抵抗を軽々と止めさせて寝室に連れて入った。
男は女の髪に優しく触れながら
違う方の手を女の白い肌に少しずつ這わせていく
『逢う魔が時』
お手伝いさんが来ない日に男はやって来る。
男は酔って忘れる夢を見る
甘美な泡沫の酔狂
これは狂った夢の続きなのだと
男はいつも女にそう言い聞かせる
愚かで憐れで悲しい夢の中なのだと
男は女の耳元に囁きかける
「夢なのだ、オレは酔っていて
これはすべて夢の中の出来事なのだと」
男は女に頷かせて そうして満足して
また嬉しそうに女に手を伸ばすのだ・・・
憐れな哀れな二つの獣
『黒い瞳と赤い瞳』
いつまで経っても どれほど過ぎても
男は夢から醒めたくないと言う。
白い薔薇の香りに包まれながら
男は夢の中から出てこない・・・
白い薔薇が香る部屋の中で男は女を抱く
赤い薔薇を想いながらその細くて美しい手を伸ばす
(・・・違う、ちがう、わたしじゃない・・・)
「なぁ、赤い薔薇を部屋に飾れよ」
「おまえに似合うのは赤い薔薇だろう」
男は背後から女の首すじに口づけを落とし
女の抵抗を軽々と止めさせて寝室に連れて入った。
男は女の髪に優しく触れながら
違う方の手を女の白い肌に少しずつ這わせていく
『逢う魔が時』
お手伝いさんが来ない日に男はやって来る。
男は酔って忘れる夢を見る
甘美な泡沫の酔狂
これは狂った夢の続きなのだと
男はいつも女にそう言い聞かせる
愚かで憐れで悲しい夢の中なのだと
男は女の耳元に囁きかける
「夢なのだ、オレは酔っていて
これはすべて夢の中の出来事なのだと」
男は女に頷かせて そうして満足して
また嬉しそうに女に手を伸ばすのだ・・・
憐れな哀れな二つの獣
『黒い瞳と赤い瞳』
いつまで経っても どれほど過ぎても
男は夢から醒めたくないと言う。
白い薔薇の香りに包まれながら
男は夢の中から出てこない・・・