ひと月の妹

記憶を失った司さんは

妹の星(アカリ)ちゃんを心配していた。

だけど、星(アカリ)ちゃんが少しずつ

元気になると司さんは星(アカリ)ちゃんを抱いた。

確かに今まではわたしがいた。

だから彼は自分の欲望を表に出すことはしなかった。

でも、わたしの存在を消して彼は妹への欲望を現した。

あなたがいくら抱いてもそれはわたしで彼の妹の

星(アカリ)ちゃんではないのに・・・

司さんが抱くたびに心の中で悲鳴をあげるわたしがいた。

彼が抱いているのは妹の星(アカリ)ちゃんであって

わたしではない・・・

 
あなたは妹にぶつける欲望を本当は後悔していた。

だからみかんさんを新しく抱いてあなたは変わろうとした。

ひと月後、みかんさんが去り、またあなたは寂しくなった。

妹の家に来る途中にすべての記憶を取り戻し、

それでも彼はわたしをまた求めた。

けれど、あなたがずっと隠し続けた秘密

妹の星(アカリ)ちゃんを好きだったことを

わたしが知ってしまっていることで

わたしとあなたの間には見えない溝ができるばかりだった。

『女の肌が恋しい』あなたはわたしを求めるだけの人になった。

愛ではなく、求められること

愛だと思っていたものは、愛なんかじゃなかったこと

「嫌いじゃない・・・だけど愛じゃない・・・」

止まない雨はずっとわたしたちに降っていた・・・

傘も持たずに雨に降られる人みたいに・・

 

 

 
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