ひと月の妹
甘ったるい誘惑の声にも耳を貸さず
オレは酔狂な夢に溺れる
抱いても抱いても掴めない
美しい幻の女を抱く
目の前に新しい女がやって来た
真紅の薔薇のドレスを着た
オレの理想のあの女だ
オレはその女を自分のものにした。
でも女はすぐにオレの前から去っていった。
オレは寂しくてまた夢の中に逆戻り
抱いても抱いても掴めない
美しい幻の女を抱く
女はオレに抱かれながら涙を零す
オレは泣かせたくなどないのに
抱けば抱くほど女は涙を零す
ある日、オレはすべてを思い出す
愛する女にオレが隠していた秘密を知られていた。
それでもオレはその女を抱いた。
すべてを忘れたオレを責めもせず
ただ女はオレを抱きしめオレに身を任せた
優しすぎるその女をオレは身勝手で遠ざけた。
あいつは黙って肯いてオレに新しい夢をくれた。
真紅の薔薇のドレスの女を迎えにいった。
抱いても抱いても掴めない
美しい幻の女はオレの所には
もう降りてはこない。
遠い遠い国へ女は行ってしまった。
オレはずっとひとりの女にだけ
溺れていたのに・・・
オレはすべてから逃げだした。
オレの弱さがあいつを逃がした。
どこまでも優しいその女の手を放した。