ひと月の妹
みかん(side)

私は知らない なにも知らない

私にはあなたが初めての人だから

だけどあなたは違うはず

他の女の人をあなたの指が触れているはず

その細くて美しい長い指先がどんな風に他の人に触れるの

別の人がそばに居られず わたしをそばに置くことにした理由を

あなたは決してなにも語らない

私も怖くてなにも聞くことはできないけれど・・・

私の長い髪にあなたがその美しい指を触れさせる度に思うの

それは別の人にしていた あなたの習慣だと私は気づくの

それは無意識 あなたは意識してやっているわけじゃない

怖くて私は聞けないの

私は知らない なにも知らない

 



 
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