ひと月の妹
司(side)

オレのすべき事は、一番は仕事だ

最後に頼るもの

それはやはりどこまでいっても・・・

『みかん』

そう、彼女だ

いつも、みかんでまたみかんで最後もみかんだ

だけど、オレはずっと嘘をついていた

オレの嘘にもつき合わせて

あいつをみかんとして生きられなくした。

あいつを『紫藤星(アカリ)』として

生きさせて、オレは違う女の手を掴んだ

おふくろの事もそうだ・・・

あいつが一人で全部を受け止めて

オレはいつもあいつの優しさに甘えてきたんだ。

愛だけど愛じゃない・・・

あいつについて語るなら・・・

オレが触れちゃいけないものは、みかん

おまえだったんだな・・・

オレはどこまでも自分勝手だから

それでもおまえを近くに置いておきたい

だけど、おまえはどこから来るのか?

強くてどこまでも優しい

そんな風に人の事を守る

だからオレに『それぞれの道へ行こう』と言う

おまえは賢く美しい

いつだって・・・

それでもオレはおまえがまだ欲しいと

どこかで思っている

それはきっと変わらない

オレの我が儘という欲















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