ひと月の妹
紫藤佳代子(side)

わたくしと羽島優一さんは

小さい頃から親しくさせて頂いていました。

「お兄さん、お兄さん」と慕って

大人になった優一さんは眩しいほどに

素敵な男性になられました。

だけど、麗子が・・・彼女が

優一さんの心を掴みました。

年頃になったら両親に頼んで

縁談を進めるつもりでした。

だけど、優一さんは麗子と結婚し

わたくしと同じように片思いで

あった紫藤恭一さんと無理に

縁談を結びました。

お金の力でそこには愛などないものでした。

麗子の娘のみかんさん

彼女の何が憎かったのでしょう?

たぶん、一番麗子に似ていたのです。

赤ちゃんの頃から双子であっても

そこでわたしくは思いました。

これが最初だったのです。

愛を知らないわたくしは長い計画を

思いつきました。

年頃の子供たちの未来をわたくしの

思うままにしてみたいと・・・

愚かで憐れなわたくしの欲でした。



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