ひと月の妹
「つまり、おまえが俺の本当の婚約者だった!」
(笑うしかないなぁ~)
「・・・」
「無言は肯定と捉えるぞ」
「私が他の人と結婚したのに?」
「契約結婚、事実婚だったと聞いている。」
「そして佐々木圭と何の関係もなかったと
自分の口でもみかんおまえが言ったんだぞ!」
(しまった。)
「だからって、紫藤司さんの婚約者が私だなんて・・・」
「ひと月の妹になったと言ったくせに」
「なぜ、簡単に俺を受け入れた?」
「それは・・・あなたが魅力的だから」
「なるほど」
漆黒の瞳の男はニヤリと
口角を持ち上げて少しだけ笑った。
「じゃあ、ひと月も俺とおとなしく暮らして
きっかりひと月過ぎたら部屋をでていくわけは?」
「魅力的な人間を簡単に受け入れ簡単に終われるものなのか?」
「それは、紫藤佳代子さんに
紫藤司さんの婚約話を先に聞いていたからです。」
「認めないのか?」