ひと月の妹
記憶がないことにも
気がついていなかった。
抜け落ちている記憶
「羽島みかん」
どうやら俺は彼女に関することだけ
記憶がないようだ。
幼馴染であるのに俺には彼女に関する
記憶がない。
アルバムの様々な記憶は手繰り寄せることが
できるのに・・・
幼馴染であるはずの彼女に関することだけが
まったく判らない。
だから「ひと月の妹」と紹介されたときには
まったく見知らぬ女だった。
見知らぬ女なのに捕まえたくて
仕方がない気分だったのだ。
みかんはあの日、まるであらゆる感情を消して
俺と対面したのだろう。