君と僕のメモリー
ヒカリとカゲ
俺は、いつも君の事を遠くから見ていた。
君と初めて話したのは、高校の入学式。
「やっべ!遅刻する!」
家のドアから飛び出した瞬間、
ードンッ!!
「うわっ!?」
「きゃぁ!?」
誰かとぶつかったらしく、思い切り尻もちをついた。
相手の子も俺の反対側に尻もちをついて、腕を抱えていた。
ーあれ?俺と同じ制服…?
俺は、とりあえず泣かれたら面倒なので、謝ろうと
「すみませ…」
「大丈夫…です、!」
途中で遮られてしまった。
「それより…」
その子はいきなり立ち上がり、俺の腕を掴んだ。
てっきり大泣きするのかと思ったら、
「遅刻しちゃうから早く行こ!」
「……」
ーえ?
予想外の言葉に、固まってしまった。
あー、多分今までで一番マヌケな顔をしてたと思う。
そっから、意味がわからないまま、その子に連れられて学校にたどり着いた。
「君、何年生?」
「一年」
俺と同じで新入生だった。
クラスも一緒だった。
だから、二人して担任に怒られた。
その後、教室に戻る前に、名前くらいは聞こうと思って、
「名前、なんつーの?」
「そら。うちゅうって書いて、宇宙。」
こっちを向いて微笑みながら、そう言った。
でも、それ以来、宇宙と話す事はなかった。
クラスは一緒でも、俺と君との接点なんてなくて。
ただ、遠くから、楽しそうに話している宇宙の事を見ているだけで、俺も幸せな気持ちになっていた。
宇宙のことが、好きになっていた。
君は、泣いたことが無い。
女子って、だいたいみんな小さな事とかでもすぐ泣くのに、泣かない。
いつも君は、笑ってる。
辛い事も、表情に出さないし、むしろ楽しそうにしている。
好きになったのも、それが理由なんだけどな。
だからかもしれない。
俺は、君の変化に気づいてあげられなかった…__。
あんなに毎日みてたのに、疑いもしなかった。
心の中で君の事は俺が一番理解してるって勝手に思い込んで…。
宇宙が一番辛い時に、傍にいることができなかった…__。