夕闇がきみを奪う前に
駆け出していく後姿に俺は釘付けだった。

淡い水色のワンピース、短めのポニーテール。

それはあの日のあいつの服装にとてもよく似ている。


「もお、早く!」


髪をなびかせて振り返る。


心臓が異常なほど速い速度で、大きな音で鳴り続ける。


…ああ、もう、本当に。

なんなんだよ、これ。



水色のワンピースの少女。


その声、その顔、その姿。



それはあの日のあいつそのものだった。



なんで、あいつがいる?

なんで、あの日のあいつがここにいる?

理解が追い付かない。

心も追いつかない。

どうして、なぜ、と疑問ばかりが思考回路を埋めていき、頭を抱えた。


「早くってばあ!」

「分かってるって」


男の子の声も聞こえてはっと顔を上げると、俺は目を見開いた。


…なあ、そんなことってあり得るのかよ?


「もお、ユキおそいよ!」

「アカリがはやすぎるんだって」


やれやれといった様子で少女に声をかける少年。


それは幼い日の俺だった。


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