夕闇がきみを奪う前に
きみに、会いに行く
目を開けると、そこはやっぱり俺の部屋だった。
窓の外で風に揺れる木の葉は美しい秋色に染め上げられている。
夕陽が眩しいくらいに部屋を照らしていた。
カーカー、とからすの呑気な声が遠くから聞こえる。
ああ、秋だ。
真夏なんかじゃない。
未だに滴る汗を拭う。もうすっかりそれは冷えていて、じっとしていたら風邪を引いてしまいそうだ。
「なんだったんだ、今の…」
視線を床に落とせば、開いたままのアルバムが目に写る。
ピントがあった瞬間、凍りつくみたいに、雷が落ちたみたいに、衝撃が体を駆け抜けた。
急に恐ろしくなって、体が震えて身の毛がよだつ。
…おいおい、まじかよ。
なんのファンタジーだよ。
開かれたアルバムのページをよく見ると、そこに貼られていたのは、小学校1年生の夏、初めて海に行ったときの写真。
眩しい笑顔でピースするあいつが写った、
俺があいつに恋をしたときの、あの日の写真だった。
俺はそっとそれに近づいて、指でなぞる。
今度は何も起こらない。
ほっと一安心して、またあいつの笑顔をなぞった。
__ああ、俺、ほんとにタイムスリップしたんだな。
あいつに、会ったんだな。話せたんだな。
時間軸は違うけれど。
もう片方の手でズボンのポケットから指輪を取り出す。
きらきら夕陽に輝くそれを見て、あいつの言葉を思い出していた。
窓の外で風に揺れる木の葉は美しい秋色に染め上げられている。
夕陽が眩しいくらいに部屋を照らしていた。
カーカー、とからすの呑気な声が遠くから聞こえる。
ああ、秋だ。
真夏なんかじゃない。
未だに滴る汗を拭う。もうすっかりそれは冷えていて、じっとしていたら風邪を引いてしまいそうだ。
「なんだったんだ、今の…」
視線を床に落とせば、開いたままのアルバムが目に写る。
ピントがあった瞬間、凍りつくみたいに、雷が落ちたみたいに、衝撃が体を駆け抜けた。
急に恐ろしくなって、体が震えて身の毛がよだつ。
…おいおい、まじかよ。
なんのファンタジーだよ。
開かれたアルバムのページをよく見ると、そこに貼られていたのは、小学校1年生の夏、初めて海に行ったときの写真。
眩しい笑顔でピースするあいつが写った、
俺があいつに恋をしたときの、あの日の写真だった。
俺はそっとそれに近づいて、指でなぞる。
今度は何も起こらない。
ほっと一安心して、またあいつの笑顔をなぞった。
__ああ、俺、ほんとにタイムスリップしたんだな。
あいつに、会ったんだな。話せたんだな。
時間軸は違うけれど。
もう片方の手でズボンのポケットから指輪を取り出す。
きらきら夕陽に輝くそれを見て、あいつの言葉を思い出していた。