夕闇がきみを奪う前に
ふっざけんなよ!

そういうものだからって言われて、ああそうですかってそう易々と引き下がれるかよ!


せっかくお前に会えたのに!


心から叫んだ。

喉が枯れるかと思うほど叫んだ。


あいつは黙ったまま笑顔を浮かべたまま、目を閉じて聞いていた。


…なあ、なんでそんな顔をしていられるんだよ、お前。


__しょうがないでしょ、ユキ。私、死んでるんだよ。それに、これも、夢なんだから。


それから真っ暗だった世界は急に白に染まりだした。

光が溢れるみたいに、黒い地面が割れてまばゆい光が差し込んでくる。

まるで光線みたいな眩しいそれに目を細めながら、俺はあいつの名前を叫んでいた。


__ユキ。


あいつが静かに俺の名前を呼ぶ。

慌ててあいつの顔を見る。





『 だ い す き 』





涙にぬれたとびきりの笑顔で、あいつはそう口を動かすと光の中に消えていった。



「アカリイィィィイ!!」



俺の叫び声だけが宙を舞った。








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