夕闇がきみを奪う前に
それから年を重ねて、幼稚園、小学校、中学校を卒業して、高校生になったとき、俺はついに、あいつに好きだと告白した。


正直、怖かった。

怖くてしかたがなかった。


だって、振られたらどうする?


今まで物心つく前から積み上げてきた絆を一瞬で壊すことになる。

それはゼロになるんじゃない、マイナスになるってことだ。


そんなハイリスクな賭けなんて、俺はしたくなんかなかったさ。


だけどもう、あいつが年を重ねるごとにますます綺麗になっていくから、他の男にとられたらどうしようって考えが頭から離れなくてしかたなくて。


きっと生涯これほど緊張することなんてないだろうと思った。




結果は、YESだった。


頬を赤らめて、恥ずかしそうに、嬉しそうに、自分も好きだと言ってくれた。



それから2週間も経たないで起きた出来事。



忘れもしない、高校2年の5月。





あいつが、倒れた。




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