夕闇がきみを奪う前に
なんで、そんなに明るく言えるんだよ。

なんで、そんなに笑っていられるんだよ。

お前、死んじまったんだぞ?


っていうかなんで、死んじまったんだよ。


俺、お前のこと絶対失いたくなかったのに。

失いたくなくて、お前のそばにいたのに。


なんでなんだよ。

どうしてなんだよ。


俺は何度も質問を繰り返す。

だけどあいつは静かに微笑んだ。




__運命だから。




透き通る声が響かせた言葉は、鮮明で、単純で、公平で、だけど不公平で、あまりにも残酷だ。




__決まっていたの、最初から。




死ぬことが決まっていたと、あいつは言う。


諦めているのか、受け入れているのか、あいつの思考は読み取れない。



__どんなに足掻いても、未来は変わらない。



なんで、そんな残酷なことを言うんだよ。

さっぱり分からねえよ。


__仕方がないよ。それが、私の運命(さだめ)だから。



仕方がないと、思っているのなら。


なんでそんなに悲しそうな顔をするんだよ?


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