夕闇がきみを奪う前に
俺がお前のことを、今でも好きだから?

あいつの言っている意味が分からない。


__分かるって、言ったじゃん!



あいつの怒ったような声が聞こえた。



__私のこと、誰より分かってるって言ったじゃん!それならどうして分からないの!?私が本当に願ってること、どうして分かってくれないの?


お前が、本当に願ってること?


どくんと心臓が跳ねた。

考えても、分からない。


お前が願っていることって、この恋を終わらせることじゃないのか?

お前を忘れてほしいいんじゃないのか?


そうじゃないのなら、あいつの願いは何だ?


あいつは怒っていた。

固く握られた拳に、キッと鋭くした目で俺を睨みつけていた。



__なんで分からないの、バカ。



呟かれた言葉は、切なく響いた。



__私が死んでから、あんたはどんな生活を送ってた?どんな毎日を生きていた?


お前が死んでからの、俺の毎日。


朝起きて、学校に行って、バイトに行って、家に帰って、夜には眠る。

暇さえあればアルバムをめくって、あいつの思い出に浸る。

あいつとの思い出を思い返して、あいつのことが片時も頭から離れなくて。



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