夕闇がきみを奪う前に
俺もずっと一緒にいたい、って答えたらさ、あいつ、驚いた顔して、それから笑ったんだよ。
本当に嬉しそうに、幸せそうに笑ったんだよ。
嘘じゃない、本当だよ。
それから俺は、学業の傍らバイトを必死に頑張ったんだ。
もともとバイトはしてたけど、俺は貧乏学生だったから余裕なんて全然なかった。
だけど、絶対に自分で稼いだお金で買いたいものができたから、休みなんてないくらいに、入れれるだけのバイトに打ち込んだ。
買いたかったんだ、どうしても。
自分が稼いだお金で、あいつに。
あいつの願いを象徴付けるもの、婚約指輪を。
その若さでって、笑うなよ。
本気で渡そうって思ったんだから。
そりゃ結婚は職業について安定した収入を得られるようになってからって決めていたけど、あいつ以外に生涯結婚したいやつなんて絶対にいないって思ったんだ。
それは、ほとんど直感。
いうなれば、これは、運命。
俺とあいつは赤い糸で結ばれていて、物心つく前から出会っていた。
なんて言ったら、ロマンチックすぎるかな。
だけど本当にそう思ったんだぜ。