~終わり近き場所へ~

 「はぁ・・・・・。」



 若い男が公園のベンチに腰を下ろす。



 男の名前は、矢川。



 「ん?こんなところにこんな花あったっけ?」



 彼が手にしていたのは、あの華。



 悪魔の華。



 (くすくす・・・・・・)



 不意に笑い声が聞こえる。



 「だれだ?そこに誰かいるのか?」



 声を潜め、笑っている相手に声を掛けてみる。



 (くすくすくす・・・・・あははっあははっはは・・・・)



 その笑いは、だんだん大きく、狂ったように響き渡る。



 「な、なんだ?」



 この声は、誰にも聞こえない。



 華を見つけた彼にしか聞こえるはずもない声。



 (あはははははっははくくくくくっ・・・・・・)



 そして、彼にしか



 見えない。



 「っ・・・・・うぁ・・・・・うえっ」



 彼がみたのは、



 人の肉をほおばりながら笑っている女。



 -ぐちゃっぐちょっバリバリバリっー



 それをみて、



 彼女は狂ってる。



 早く逃げなくては。



 とそう思った。

< 2 / 11 >

この作品をシェア

pagetop