夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく
「……なんにも知らないくせに、好き勝手言うな!!」


叫んだ瞬間、青磁がにやりと笑った。


腹が立つ。


ひとが必死になってるのに。

こんなに怒ってるのに。

なんであんたは楽しそうに笑ってるわけ?


「なにニヤニヤしてんのよ……! 馬鹿にしてんの!? ふざけんな、アホ青磁!!」


高ぶった感情に任せて、握りしめた拳を青磁にぶつける。

それでも青磁は笑っている。


「なんなの、なんなの、もうほんとむかつく! あんたなんか大嫌い!!」

「あっそ」

「なにそれ、馬鹿にしないでよ!」

「だってお前馬鹿じゃん」

「……っ、」


なぜか涙が出てくる。


さっき青磁の絵に泣かされたせいで涙腺がおかしくなってしまったんだ、きっと。


「青磁の馬鹿ー!!」


空に向かって怒鳴ると、青磁がははっと笑い声をあげた。


「そうだ、その調子だ! 言えよ、茜。むかついてること全部言え、ここなら誰も聞いてないからな」

「青磁がいるでしょ!」


泣き声になってしまうのが情けない。


「俺は特別枠だ」


青磁が偉そうに顎をあげて言い放つ。


そういうふうに自分が特別だと思ってるところ、自分が特別だと思えちゃうところ、そういうところもむかつく。


< 117 / 300 >

この作品をシェア

pagetop