夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく







「……なに? なんか付いてる?」


青磁が訝しげにこちらを見てきて、それで初めて、自分が彼の横顔を凝視してしまっていたことに気がついた。


「……いや、べつに、たまたま視界に入っただけ……」


慌てて首を振ると、青磁は「あっそ」と言って前に向き直り、画材の準備に戻った。

なんとかごまかせたかな、とほっと息をつく。


今までと同じように屋上で肩を並べて座っているだけなのに、彼への気持ちを自覚してしまってからは、ひどく落ち着かなくてそわそわしてしまう。


それをごまかすために、マフラーをマスクの上からぐるぐる巻きにして肩をすくめているけれど、目が勝手に青磁のほうを向いてしまうのだ。


「なに、寒いの?」


また青磁が首をかしげて訊いてくる。


寒いのは確かに寒い。

だって、もう十二月だ。

こんな時期に屋上にいるなんて、普通に考えたらおかしい。


でも、私は青磁と二人きりになれるこの時間を失うのが惜しくて、「寒くない」と首を横に振った。

『寒いならもう屋上に出るのはやめよう』なんて話になったら困ると思った。


「青磁は?」

「ん?」

「青磁は寒くないの?」

「べつに。コート着てるし、平気」

「そう」


よかった、と思ったけれど、それは口に出さない。


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