夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく
ときどき風が吹き過ぎていくと、一瞬で体感温度が下がる。

むき出しの指が凍えてかじかむ。


そろそろ手袋を持ってこないとな、と考えながら、気がつくとまた隣に目を向けていた。


すると、私が何か話しかけようとしていると思ったらしく、青磁が「ん?」と顔をこちらに向ける。


「……あ、あのさ……」


さすがにさっきと同じようにごまかしたら不自然だと思って、なんとか話題を見つけようと、頭の中でぐるぐる考えを巡らせる。


そのとき、またびゅうっと風が吹いて、青磁の髪がなびいた。

空の色を映しそうな、真っ白な髪。


よく見ると、風にあおられて覗いた生え際まで、綺麗な白だ。


「……すごく綺麗に脱色できてるね」


話題を見つけられたことにほっとしながら、私はそう言った。

青磁が一瞬目を見開く。


「ほら、ふつう、生え際はもとの色が残っちゃうでしょ? なのに、青磁の髪は全部ちゃんと脱色できてるから、すごいなって」


私が言葉を続けると、彼は「ああ」と頷いてから、


「これ、脱色じゃねえもん。地毛だよ、地毛」

「えっ?」


この真っ白な髪が、地毛?


初めは冗談かと思った。

でも、青磁の表情は至って真面目で、その言葉が事実なのだと分かった。


「ふうん、そうなんだ」


私はそれだけ返して、その話を終わりにするため空を仰いだ。

青磁も筆をとって、いつものように絵を描き始める。


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