夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく
「ううん。……友達と、一緒に」


青磁の存在をどう言葉にすればいいか迷ったけれど、『友達』という表現がいちばん妥当だろうと思って、そう答えた。

すると、さらに驚くような言葉が返ってきた。


「女だけで行くのか? こんな暗いのに。危ないだろ」


どうやら心配してくれているらしい、と気がついて、思わずきょとんとしてしまう。


「……いや、ええと、その友達、女の子じゃないから……たぶん、大丈夫」


まごつきながら答える。

男の子と出掛けるなんて、あまり言いたくなかったけれど、心配させるのも嫌なので正直に言った。


「……あ、そういうこと。なら、まあ、大丈夫か。気をつけろよ」


お兄ちゃんはそう言って、そのままリビングのドアを開けて中に入っていった。


ふう、と息を吐いてから、靴を履く。


なんだか、嬉しかった。

お兄ちゃんと久しぶりに普通に会話した。

それに、私のことを心配してくれたというのも、くすぐったいけれど温かい気持ちになる。


「行ってきます」


みんなを起こさないように小さな声で言って、ドアノブを握る。

ドアを開けるとき、少し悩んだけれど、やっぱりポケットからマスクを取り出して耳にかけた。


学校に行くわけではなくても、いくら相手が青磁でも、やっぱり素顔は見せたくない。


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