夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく







冬休みなんて、本当にあっという間だ。


進学補習や家の仕事や宿題に追われているうちに、気がついたら正月になっていて、すぐに新学期。

全く休んだ気がしなかった。


でも、いつもは憂鬱な学期の始まりも、今はわくわくしているというのが正直なところ。

それはもちろん、青磁に毎日会えるからだ。


冬休みの間も、補習が終わってから美術室に顔を出したりしてみたけれど、会える日と会えない日があって、

会えなかった日はすごく気分が沈んだ。


いつの間に私はこんなふうになってしまっていたんだろう。

青磁が隣にいるのが当たり前すぎて、彼の顔を見られないだけで、その声を聞けないだけで、自分でも不思議なくらいに一日が長く感じられた。


「おっす。なにぼうっとしてんだよ」


久しぶりの自分の机に頬杖をついて窓の外の空を見ていたら、こつんと頭を叩かれた。

声を聞いた瞬間に分かっていたけれど、もっと言えば、足音が耳に入ったときから分かっていたけれど、いちおう振り向いて確かめる。


青磁が薄く笑いながら私を見下ろしていた。

顔を合わせたのは一週間ぶりだ。


「ぼうっとしてないし。空、見てただけ」


胸の高鳴りをごまかそうとするあまり、そんな可愛いげのない口のききかたをしてしまう。

素直になれない自分に嫌気が差した。

他の人に対しては、優等生で気づかいのできる人間を演じることができるのに、どうしてか、青磁に対してはうまくできない。

むしろ、理想とは正反対の対応ばかりしてしまう。


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