夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく
*
自己嫌悪の嵐だった。
沙耶香に対しても青磁に対しても、自分が最低なことをしてしまったと、分かりすぎるほどにわかっていた。
すぐにでも謝らなきゃ、と思っていたのに、
結局私は、午後の授業をうつむいたままやり過ごして、終礼が終わると同時に、逃げるように学校を出てしまった。
酷い顔をしているという自覚があったので、家に帰っても家族にさえ素顔を見られたくなくて、初めてマスクをつけたまま家に入った。
こっそりと玄関を開けたつもりだったのに、お母さんがすぐにリビングから顔を出した。
「おかえり、茜」
「……ただいま」
「あら、マスク? 風邪でも引いたの?」
「………」
どう答えればいいかを迷っていたら、お母さんが私の額に手を当てて首をかしげた。
「熱はなさそうだけど……顔色は悪いわね。今日は家のことはいいから、早く部屋に入って寝なさい」
「……うん」
「あとで薬とおかゆ持っていくから」
「いい。食欲ないから、おかゆもいらない。このまま寝るね」
なにか言いたそうなお母さんに背を向けて二階にのぼり、ドアを閉めて鍵をかけ、部屋にこもった。
ふとした瞬間に鏡にうつる自分の顔も見たくないので、一人きりの部屋でもマスクのまま、じっとベッドの上にうずくまっていた。