夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく
美術館の前にたどり着くと、数十人の人たちが入り口に向かっているところだった。

早い時間に来て開館を待っていた人もいるらしい。


立派な装飾が施された玄関を通って中に入り、券売所の前の列に並ぶ。

エントランスホールは三階までの吹き抜けになっていて、ドーム状の天井から光が射し込んでいた。

ホールの真ん中に立つと、ぐるりと取り囲むように各階の回廊が見えた。


入場券を買って、案内に添って美術展の会場へと向かう。

少しずつ来場者が増えていて、周りには十人くらいの人がいた。


美術展の受付で入場券を渡して、半券をもらって中に入る。


中は細い廊下のようになっていて、両側にたくさんの絵が展示されていた。

絵の下には、大きく作品のタイトルの書かれた紙が貼られていて、高校名と学年、氏名も書かれている。


どの作品も、とても丁寧に時間をかけて、そして力を注いで描かれたということが、見ればすぐに分かる。


風景画や静物画があり、また人物画や動物画があり、あるいはデザイン画や抽象画といったものもあった。

控え目な色づかいだったり、とてもカラフルだったり、白黒だったり。


美術展なんて見たことはなかったけれど、たくさんの高校生たちの夢や思いがつまっていて、とても活気のある空間だ。


きっとみんな、たった一枚のこの絵に、途方もない気力と時間をかけたのだ。

半年前の私だったら、そんなことなど思いも寄らなかっただろうけれど、青磁が絵を描く姿を見続けてきた今なら、それが理解できた。


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