恋愛の始め方
バスを乗り継ぎ、向かった先は裁判所。

今日で、全てが終わる。

全て、リセットされる。

その先に、何が待っているのかはわからない。

だけど、良い気がしないのはあたしの考えすぎだろうか?

そんなことを思っていると、始まった判決を言い渡す公判。

裁判長は、手元の書類をゆっくりと読み上げていく。

その声が心地よくて、寝てしまいそうだ。

そして、やっと話も終盤になった頃。

裁判長が、顔を上げた。


「よって、今回の原告の請求を棄却する」


棄却。

それは今回の裁判で、あたし達側に罪がなかったと認められたということだ。

喜んで良いのか?わからない、今の状況。

あたしと同じように傍聴席にいた、女の子の家族は声を上げ、怒りや悲しみを表している。

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