恋愛の始め方
その後、何も話さなくなった間宮を残し、あたしはその場を後にした。

取り乱すこともなく、平然を装っていたが、内心ビクビクしていた。

悪いことをしているわけでもないのに、何に怯えていたのか?自分でもよくわからない。

自分の家に着き、倒れるようにベットに体を預けた。

疲れ切っていて、無気力な体。

なのに、余計なことを考えてしまう頭。

答えも出ない自問自答を繰り返し、その夜を明けてしまった。

カーテンから零れる朝日に、嫌気が差す。

最近は、こんなこともなかったのに。

いい年になって、自分がわからない。

何をしたいのか?

どう、生きていきたいのか?

救命に拘ったのは、自分自身。

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