恋愛の始め方
医師である意味
~志乃~


これで、良かったんだ。

そう、自分のことを納得させても、心が理解してくれない。

あの日から直哉の婚約者と思われ、いきなり優しくなるスタッフ達に呆れた。

今の病院の系列の跡取りだということが、そんなに大それたことなのだろうか?

直哉は直哉で、家柄は家柄だと思うあたしには、到底理解できないことだ。

刻々と過ぎていく時間の流れに、ただ流される日々。

淡々と仕事し、独りぼっちの淋しい夜を明ける。

昔のように、ワンナイトの相手を探せばいいだけの話。

だけど、どうしてもそんな気にはなれなかった。

終わったことなのに、間宮の面影を探してしまう。

そんなあたしは、本当にどうしようもないバカ女だ。

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