恋愛の始め方
「準備できたら・・・」


直哉の話の途中で、救急車のサイレンの音が耳に届く。

お互いに顔を見合わせ、苦笑い零す。

そしてどちらともなく、Uターンをする。

歩みは自然と小走りになり、救命へと戻る。


「い、伊藤先生!ほ、ほのかが!!」


処置室の待合室で、ほのかちゃんのお母さんに遭遇した。

不安に駆られ、体が小刻みに震えている。


「お母さん、落ち着いてください」


直哉が、ほのかちゃんのお母さんを宥める。


「これで、もしダメだったら・・・ほのかは、良くなることないんですよね?」


ほのかちゃんのお母さんは、ほのかちゃんの急変するたびに、どれだけの悲しみを味わって来たのだろう?

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