恋愛の始め方
お母さんの様態は、相変わらず。

後は、ただ手術を待つだけ。

手術の準備は滞りなく進み、お母さんの手術日は決まった。


「明日だな、手術」


お母さんのカルテを確認していた時、直哉に声を掛けられた。


「心配?」

「多少わ」

「いいの?あたしが手術して」

「志乃以上の医師は居ねぇ」


前から思っていたが、どうしてそこまであたしのことを信頼してくれるのだろうか?

医師は、あたし以外にも沢山いる。

それにお母さんの娘である、あたしは一番避ける場面だ。

血縁関係や交友関係がある患者は、医師として冷静な判断が出来ないことがあるから、避けるのがベターだ。

なのに直哉はあたしを信頼し、頼んできた。

普通の医師なら、絶対しないのに。

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