恋愛の始め方
だからと言って、自分の口から素直に話すのも気まずい。

あたしは、敢えて話を聞かなかったことにした。

そんなあたしに、直哉は話を変えた。


「なぁ、志乃。地域医療って、どう思う?」

「地域医療?」

「あぁ。俺さ、地域医療が一番必要だと思うんだよ。どんなにデカい病院よりも、安心して病気になれる環境が、患者が一番求めてるモノだと俺は思う」


安心して病気になれる環境、か。


「それで、試しにやってみたいんだ」

「良いんじゃない?」


やりたいと言って、誰でも簡単に出来るわけじゃない。

でも、今の直哉なら出来る環境にある。

だから、やりたいならやればいい。

そう思い、あたしは簡単に口にした。

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