恋愛の始め方
「そう、怒るなよ」


顔だけこちらに向け、まだ笑いながら言う。

そんな間宮と視線が交わり、ドキッと胸が高鳴った。

それを誤魔化すように、あたしは視線を逸らす。

そんなあたしの元へ、間宮がやって来る。


「機嫌直せよ」


そう言い、優しくあたしの頭をポンポンッと叩く。

ズルい、男。


「そうそう、来月なんだって?」


よくわからず、あたしは首を傾げる。


「結婚式」


結婚式?


「堂島が言ってた」


あぁ、直哉の結婚式のことか。

そう言えば、此間そんなことを言ってたっけ?

良かった。

揺らいでた直哉のことを思い出し、ホッとし、笑みが零れた。

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