恋愛の始め方
近づく距離
忙しい日々に追われ、気付けば3ヶ月が過ぎようとしていた。

間宮との関係は、文句なしで更新中。

ほんと、都合が良い。

そんなとある日、今まで上手く避けていた奴に捕まった。

遅番の勤務を終え、スタッフルームに向かっていた時だ。


「伊藤ちゃん。もう上がりでしょ?」

「お疲れ様でした」


当たり障りのない挨拶をし、その場をやり過ごそうとしたのに、今日はいつもよりしつこい。

この男、脳外科の医師、風間。

何かにと、あたしに絡んでくる。

正直、いい加減にしてほしい。


「ねぇ、一緒に飲み行こうよ」

「すいません。今日疲れてるんで、また今度」


いつもと同じ言葉を返し、スタッフルームのドアに手を伸ばした時、腕を掴まれる。

そして隣の非常階段のドアを開け、あたしのことを連れ込む。

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