恋愛の始め方
__ドンッ__


背中に鈍い痛みが走り、目の前には風間の姿。

あたしの手首を壁に押し付け、ゆっくりと近づいてくる風間の顔。

静かな非常階段に、チュッっと唇を交えた音が響く。

行為自体は、嫌いじゃない。

だけど、何だろう。

ここが病院だからだろうか?

全く気持ちものらなければ、段々イライラして来る。

何度かキスを繰り返した後、風間が離れる。


「ねぇ。俺の女になってよ」


下心満々な言葉に呆れる。

女って、ただの遊びの癖によく言うよ。

それならストレートに「寝よう」と言ってくれた方が、良い。


「すいません。仕事が忙しくて、そんな余裕ないんです」


丁寧にお断りしてあげたのに、風間は腕を離してくれない。

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