恋愛の始め方
明日の引っ越しの為に詰め込んだダンボールたちが、部屋を淋しくさせる。

地元に帰ったら、もう一生この町で暮らす日なんて来ないだろう。

都会って、落ち着かない。

でも、今の町は好きだ。

彼と一緒に過ごした時間が、この町にあるから。

淡い恋の思い出だなんて、言わない。

間違った想いだと、言われても良い。

否定されても、構わない。

だから、その代わりにあたしは想えるんだ。

一生、彼に恋をして居られる。

段々、美化されていくかもしれない。

それもまた、悪くない。

医師に戻った時、あたしは決めたんだ。

あたしは恋と仕事、どっち取るか。

そして、医師の道を自分で選んだ。

後悔なんて、しない。

後悔なんて・・・

そう、自分に聞かせて・・・

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